2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

患者が運ばれてこない!

昼の12時頃、他の病院から紹介の電話が来た。 「生まれたばかりの男の子、腹壁破裂で生まれてきた!」 腹壁破裂、名前の通り病態も激しい。ヘソの緒の横側の腹壁が弱くなっていて、腸が体の外に飛び出した状態で生まれてくる病気だ。 日本では、妊婦検診での…

大使館からやってきた!

公の人から連絡が来ると、どうもビビってしまう性質だが、別になにか悪いことをしたわけではありません。ブログを読んで頂いた南アフリカ大使館の医務官の方が、当院に見学に来てくださったのだ。 医務官ってどんなお仕事?世界各国の在外公館にいる医師で、…

飲んだらマズいもの

モノを飲んじゃったシリーズ第2弾。 小さな子どもはほんとにすぐモノを口に入れてしまう。以前書いたとおり、コインは食道を通ってしまいさえすればほぼ問題ない。ただ、飲んでしまったらかなりマズいものがある。それは、マグネットだ。 その日の当直はかな…

麻酔科 vs 外科 白熱の戦い

家と病院とは徒歩10分くらい。ちょうどその間に大きな公園というか原っぱがある。その周りがマラソンコースになっていて、朝と夕方には、ラッシュのごとく、たくさんの人が走っている。 ちなみに今年は、ちょうど病院創立60周年らしい。記念イベントとして、…

子どもはいろんなものを飲んじゃいます

3歳くらいまでの子どもは、なんでもすぐに口に入れちゃう。これは日本でも南アフリカでも同じ。 一番多いのがコイン誤飲。処置が必要かどうかの判断は、食道を通過するかどうか。胃まで到達してたらほとんど問題なし。時間が経てば、うんちと一緒に肛門から…

肛門がない!

当直の日の夜中0時、近くの病院から電話がかかってきた。 「産まれたばっかりの女の子なんだけど、肛門がないんです」 34週2,100グラムの早産児。直腸肛門奇形、いわゆる鎖肛が疑われる。すぐに手術が必要になるため、うちの病院に搬送してもらうよう伝えた…

ケープタウンが世界初?

同僚の実家に遊びに行ったら、お母さんの自慢話に花が咲いた。「この写真に写ってるのが私なのよ」 1967年、世界で始めて心臓移植が行われたのがここケープタウンの病院。そこで看護師として働いていた彼女にとって、この世界初の現場にいたことはとても誇り…

アフリカの手術設備

手術は一瞬の出来事の連続。教科書に書いてあるのは大きな流れだけで、実際にどうやって手術を進めるかは、他人の手術を見て、自分で執刀することで学んでいくところが大きい。 その学習で効果的なのが、ビデオだ。ノートをつけたりスケッチを描いたりはもち…

考えを言葉にする教育

海外のいくつかの国で手術室に入らせてもらってきたが、日本と海外の大きな違いは、その教育スタイルにある。 日本の外科医は「見て盗め」型。上級医は多くを語らない。研修医も、見るポジションを奪い合って、なんとか上級医の技を盗んでやろうと必死だ。な…