アフリカ最貧国

平均寿命46歳、アフリカで最も貧しい国の一つ。
いろんな肩書きを持つシエラレオネ、実は行きたい国リストに入っていた。

ケープタウンの病院食堂で声をかけられたのが、
シエラレオネ人の小児神経内科医だった。
気さくないいやつで、すぐに仲良くなった。
でもシエラレオネって言われてもまったくピンとこなかった。

「ものすごく医者が少ないんだよ」

どんな国なんだろう?興味が尽きない。
たまたまガーナに、その友人の親戚がいて話を聞くことができ、
帰国前の最後の国として行ってみた。

「空港降りたら船に乗るんだ」

なんなんだそのシステムは?
もうこの情報だけで危険な感じがプンプンしていたが、
案の定、小さな空港に降り立つと、待ち構えていた男達が声をかけてくる。
やっぱ途上国はこうじゃなくちゃな。

船着き場まで案内するという男と一緒になって、
携帯電話のSIMカードを配る男も付いてきた。

「最初の10MBはタダだから!」

タダほど怪しいものはない。
なんでタダなのか聞いてみると、なるべく多くの人に使ってもらって、
そのあとの利用で儲けるとのこと。
怪しかったがまあ一理ある。これもここでのビジネスの仕方か。
カードを受け取ると、

「じゃあ情報を登録するからパスポートを見せて」

確かに名前や生年月日が必要なのは、今までの国でもそうだった。
仕方なく渡すと、なぜかスマホで写真を撮っている。

「じゃあ顔写真も撮らせて」

と言ってスマホで顔写真も撮った。
そのあと、案内したからチップくれという男を無視して、
ボート乗り場まで行くマイクロバスに乗り込んだ。

いやしかし待てよ?!
なんでSIMカードの登録に、パスポートの写真と、顔写真まで必要なんだ?

ヤバい、なんかヤバい感じがする。
別にクレジットカード情報を盗まれたわけじゃないから、
金を引き落とされることはないだろう。
でも気持ち悪い。

しばらくアフリカ諸国を回っていて、気が緩んでいた。軽率だった。
ここは最貧国シエラレオネなんだ。

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意外と快適なジェットボートに20分乗ると、首都フリータウンにたどり着いた。
頼んでいたホテルのドライバーが迎えに来てくれていて助かった。
自力でホテルにたどり着くのはそうとう勇気がいる。

アフリカのホテルはいくら貧しい土地でも意外と高い。
今回のシエラレオネのホテルは1泊50ドルくらいで、
街の相場からいったら中の下くらい。
日本やアジアでこの値段を払って泊まれる宿とは
比べものにならないクオリティだが、
ホットシャワーが出るだけいいことにしよう。
もちろんしばしば止まるけど。

オーナーは若い白人で、すごく感じがいい。
親の関係でこの国に移住してきて、もう12年も住んでいる。
この国がいかに貧しいか、
電気や水道などのインフラ設備がいかに遅れているか、
国の上層部がどれだけ海外からの援助資金を自分の懐に入れているか、
などなど教えてくれた。

どうしても気になっていた、パスポートと顔の写真を撮られたことを聞いてみた。

「基本的には大事にはならないと思う。
でももしあとで何かあったら、
連絡してくれたら手助けするよ」

いい人だ。

どっかの国のイケメン工作員が、
シミズトオルの名の入った偽造パスポートで密入国したというニュースを見たら、
ぜひご一報ください。