電話がつらい
英語環境で働いていて、
いつまで経っても苦しむだろうなーと思うのが、電話。
ふつうの会話だったら、表情とかしぐさとか雰囲気とか、
いろんな情報があるが、電話は声だけ。
当直をすると、病院の中から外からガンガン電話がかかってくる。
南アフリカには、英語を母国語としない人がたくさんいる。
その人たちのアクセントはハンパないので、
一言一句理解するのはとうてい無理。
じゃあネイティブ南ア人は大丈夫かというと、そうでもない。
白人は話すのが早くてこれも厳しい。
黒人もアクセント強いのでさらに厳しい。
結局、院内からのコンサルトの時は、場所をしっかり確認して、
「わかった、すぐに行くから」と言う。
でもこれをやっていると、すぐに患者を見に来てくれるという意味で、
いい評判が生まれやすい。
ほんとは英語わからないだけなのにね。ははは。
最も困るのは院外からの紹介の電話。
キーワードをがんばって拾って、
「おっけ、うちに送って!」と言う。
これもまた、向こうは困って電話してきてるのだから、
すぐに受け入れてくれるという意味で、
いい評判が生まれやすい。
もうすぐクリスマスシーズン。
12月中旬から、病院は休み体制に突入する。
今年もおつかれさまということで、
上級医が自宅でバーベキューにみんなを招いてくれた。
でもちょうど当直の日とかぶってる・・・
「大丈夫。病院からすぐ近くだから、落ち着いてたら来てね」
17時頃、他院からアッペ疑い患児の搬送依頼の電話が来た。
あいかわらず電話口のアクセントは強い。
「とりあえずうちの病院に送って!」
19時になりようやく病棟も落ち着いてきた。
そろそろバーベキュー行けるかなー、まだ肉残ってるかなー、
と思いだしたとたんに、例のアッペ疑いの子どもが来た。
完全に腹膜炎になっている。
緊急手術が必要だ。
バーベキューは無理だね・・・と一緒に行こうとしていた外科医に言うと、
「っていうかなんでこの子、うちの病院で受けたの?
14歳は子ども病院で見ないで、成人病院で手術するのよ」
えっ!そうなの?!がーん
ここの病院では、13歳以上は成人病院に送るらしい。
マジかっ!
「いいじゃない。あなたのおかげで、子ども病院で手術できたんだから」
一緒に働いてた若手の女医さんが慰めてくれた。
そうだよね。ぐすん。