ネット探しの旅
海外に行くと、誰しも日本のありがたみを思い知る。
以前は「日本食が恋しいなあ」とよく言われていたが、
それでも今では、だいたいどこへ行っても日本食が食べられたりする。
現代において、海外で一番困るもの、
そう、それはインターネットだ。
よくわからない病気とかあればすぐネットで文献を調べるし、
手術記録などのデータはほとんどクラウド化されているし、
完全にネット依存体制ができあがっている。
この状態でネットを取り上げられたら、仕事にならない。
ここケープタウンのネット事情もひどい。
自宅にも無線LANはつながっているが、スピードはかなり遅い。
家主の夫婦が使い始めると、電波の奪い合いでさらに遅くなる。
むかーし、途上国をバックパッカーで放浪しているとき、
インドやネパールの安宿の周りには、インターネットカフェなるものがあり、
旅人たちが集まっていた。
1回クリックして、しばらく経ってようやくホットメールが開く。
あんなスピード感を思い出す。
働き始めてまず最初にやったことは、病院内でのネット探し。
なぜか手術室の控え室でネットが使えることを発見。
家とは比べものにならない早さなので、手術がないときでも、
わざわざ手術着に着替えて手術室にこもっている。
当直明けの日曜日。
天気はいい。春が訪れている。
さすがに病院内にいるのはもったいない。
ネット探しの旅に出よう。
カフェではネットがつながると聞いた。
腹減ったからなんか食べたいな。
メニュー見てそそられるものはフライドポテトくらいしかなく、
ポテトと一緒にコーヒーもいまいちだろうということで、ビール頼んじゃった!
あっという間に食べて飲んでしまった。
全然ネットできていないので、カフェラテに切り替えた。
屋外だし雰囲気いい。
これで全部合わせてチップ込みで650円!
遅いけどネットも使える。
こんなところでのんびりネットを見るなら、
これくらいのスピードで充分かもしれない。