ケープタウンで手巻き寿司
南半球にあるケープタウンは、本格的な夏に入った。
週末になると、テーブルマウンテンなどの観光地は、海外から来た観光客だらけ。
じゃあ地元の南ア人たちはどこに行くの?
そう、郊外の人気の少ないところに行ってキャンプしたりする。
同僚にキャンプに誘ってもらったが、当直の関係で、
あとから自力で行くことになった。
キャンプ場は市内からクルマで1時間半。
愛車の1970年代ミニで行くのは自殺行為なので、
まともなレンタカーを借りて出発した。
「高速道路降りてまっすぐ行けば看板が見えるから。それに沿って来れば着くから」
同僚のザックリとした指示と怪しいGPSを頼りにクルマを走らせた。
やっぱり新しいクルマはいいなーという開放感を得たのもつかの間、
余裕で迷った。
田舎すぎてGPSの電波が届かない。看板なんて全然ない。電話も通じない。
ケープタウンを出て3時間ほど経った頃、
ようやく同僚が、さまよっている自分のところに来てくれた。
「こっちに行くのが正解だったんだよ」
と示してくれたのは、「Private Only」と書かれたワイン畑の中につっこんでいく農道。
こんな道わかるわけないだろっ!
日本でのわかりやすい標識や指示に慣れているからだろうか。
絶対こっちはないだろう、という感覚が、南アでは完全に覆される。
ガタガタ道をしばらく走って、ようやく湖畔のキャンプ場に着いた。
オンボロミニでは絶対にこの道は来られなかった。
キャンプ場では、白人の家族5組が、
ビーチチェアに寝そべってのんびり話したり本を読んだりしている。
子供たちは川で泳いだりジャグジーで遊んだりしている。
あー、これが現地人の休日の過ごし方なんだな。
キャンプ場と言っても、自分でテントを張るわけではない。
布でできたおっきな建物があって、中にはベッドやトイレが備わっている。
キッチンもばっちりある。黒人のメイドさんも連れてきている。
誘ってくれたお礼を何かしたい。
日本から海苔と酢飯の素を持って来ていたので、
街で買ってきた新鮮な魚を使って、手巻き寿司パーティをやった。
子どもたちにとって自分で巻くのは楽しいし、
なによりこの味に感激していたのはアダルトチームだった。
田舎道をさんざん迷子になって疲弊していたため、すぐに帰ろうとまで思っていたが、
みんなに喜ばれて一気にテンションが回復した。
今まで外人へのもてなしをいろいろやってきたが、ここまでウケがよかったことはない。
手巻き寿司、これはオススメです。