いろんな医療のカタチ

デンジャラスシティ・ラゴスを脱出し、南アに戻った。
やはり明らかにこの国だけアフリカの中で浮いた存在だ。
南アだけ先進国。

ラゴスの空港まで向かう道のりでも、
すさまじい数の人がいて、
クルマすれすれに人が横切っていった。

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軒先に出店みたいなのも並んでて、
なんかフェスティバルでもやってるのかと思ったが、
彼らにとってはこれが日常。

こんだけ人がいるのなら、さぞかし病院も混んでて、
手術もやりまくっているんだろうと思うが、そうでもないらしい。

仲良くなった地元の若い医者に聞いてみた。

「保険がないから、病気になっても病院に行けないんだよ」

それでも街に住んでいる人たちは、どうしようもなくなったら来てくれる。

「問題は、村に住んでるその他大勢の人たち。
そもそも病院までのアクセスが悪い。
しかも村には、まだ伝統医療の力が強いんだ」

沖縄のユタみたいなのだろうな。
ケープタウンにも、伝統医療で散々いろいろやられて、
結局治らずうちの病院に運ばれる人がけっこういる。

「あと困るのが、
まともに医療の教育を受けていない人たちが村に来て、
見よう見まねで治療したりするんだよ。
それでわずかな金を取ってるんだよね」

医学部を途中で脱落した人とか、元救命士とか、
医療をかじったことのある人が、
薬を処方したり、簡単な手術をしたりするらしい。
鼠径ヘルニアの手術を村でやって、尿管切っちゃったりとか、いろいろあるみたい。

戦後、医師不足だった沖縄で活躍した医介輔が思い出されたが、
ナイジェリアのは資格も何もなく、ダーティなイメージが強い。

「村には潜在的な外科患者がたくさんいるんだよ。
だから今、僕らは、外科医と麻酔科医とナースがチームを組んで、
村をまわって患者をすくい上げて、手術できる活動を始めてるところなんだ」

がんばってほしい。

根本的な問題が多すぎて、どこから手をつけていいかさっぱりわからないが、
この若い医師たちの純粋な気持ちが、
いつまでも消えないことを願うばかりだ。