発言力

ホテル前でバスに乗せられ、会場の入り口でバスから降ろされるので、
一歩も外を出歩かない。
ほんとのナイジェリアには触れられないが、命には代えられない。
 
バスの窓から見る景色は、まさに喧騒。
いろんな色が入り乱れている。

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特に目を見張るのが、おしゃれなラゴス女子。
スタイルはいいし、バッチリメイクだし、髪もきれいに編み込んで、
きらびやかな髪飾りをつけている。
バスの中から見てるだけだが。

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本番の学会の前に、ワークショップが3日間ある。
腹腔鏡コースと直腸肛門疾患コースのどちらかを選ぶ。
 
腹腔鏡の部屋を覗くと、リアルブタがみんなの練習台になっていた。

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これは日本でもやっている。
実習後にはブタさんに黙祷したりする。
でもナイジェリアが違うところは、黙祷どころか、
終わったあとに食べちゃうらしい・・・(ほんとか?!)。
 
自分が選んだ直腸肛門疾患コースは、
南アの病院出身で、今はアメリカでスタッフをやっている医者が講師だった。

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今までいろいろレクチャーを受けたが、
このワークショップは秀逸。
 
スライドはほとんど問題形式で、いわゆる教科書的な講義はほぼない。
写真を見せて問題を答えさせて、ディスカッションを喚起する。
受講者も20人くらいと少ないこともあり、
発言や質問が次々と出る。
しかも参加者は、ナイジェリア人やエジプト人など、
英語が第一言語ではない人ばかりだ。

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みんなだいたい年配のスタッフレベルということもあるが、
それでも英語でがんがん発言しているのはすごい。
 
若手のエジプト人と話したが、母国語はアラブ語でも、
医学部の教科書は全て英語なんだって。
そりゃー医学英語には困らない。
なにもエジプトだけでなく、アジアやアフリカなど
世界中のほとんどの国の医学部は、英語のテキストを使っている。
 
すげー勉強になったワークショップだったが、
結局ディスカッションするにも、英語での医学知識がないと発言できん。
こんなんじゃダメだ。
 
まだ南アでの医師登録作業が終わってないため(「悪夢のメール」参照)、
いまだに手術は執刀できないし、当直もできないでいる。
これはかなりのフラストレーションではあるが、
いま忙しくないときこそ、勉強してみんなに追いつきたい。
 
ケープタウンの病院のウィークポイントは、
術前症例を検討する場がしっかりしてないところ。
逆に言えば、こここそアピールポイントになり得る。
電子カルテじゃないから、一人一人のカルテを探しまわったり、
カルテの中身も手書きでごちゃごちゃしてて情報収集しにくいんだけど、
ここでばっちり調べて、術前カンファで問題点を挙げたりすれば、
みんなの見る目もかわるんじゃないか。
 
日本の小児外科もすごいが、
たとえば今回の直腸肛門疾患とか、
欧米がかなり進んでいる領域がある。
病院自体、肛門含めいろんな疾患を扱っていて、
これらをひとつひとつ丁寧にレビューすれば、
きっと得られるモノは大きいはずだ。
 
せっかくこんないい病院に来たんだから、
手術で執刀することにこだわらず、
もっと大きな視野で小児外科を学んでいこう。