ワークライフバランス
なぜかこっちで知り合う人はいい人が多い。
同じ小児外科のチームも、
一人くらい嫌なヤツがいてもいいのに、みんないい人。
ふつう、外科医は変な人が多い。
こんないい人だらけの環境で働くのは初めてだ。
なぜなんだろう?
ここで仮説を立てた。
この人たち、Work-life balanceがしっかりしてるからいい人なんじゃないか?!
まず、勤務時間が全然違う。
当直医以外は、その日の手術が終われば速攻で帰る。
予定手術は17時以降はやらない。
夕方には病院がガラガラになる。
じゃあそんなに早く帰ってなにするのか?
そう、家族と一緒に過ごすのだ。
子供を学校に迎えに行ったり、夕飯みんなで食べたり。
また、勉強したり、論文書いたりする時間だって充分にある。
しかも家も立派。
「ちょっと寄って行きなよ」って
お宅におじゃますることがよくあるが、
どの家も広くて庭がある。
たいして給料も高くない研修医の家にもプールがあった。
そしてたいていの家には、黒人女性のお手伝いさんがいる。
掃除洗濯は自分でしなくていい。
「うちの家は狭い方だよ」と家主の同僚。
いやいや、勘弁してよ。
小児外科の教授がみんなと雑談しているとき、
日本での学会に行ったときの話になった。
「日本の教授はさ、夜遅くまで仕事してるんだよ。
しかも、その下で働く医者たちは、
その教授が帰るまで自分たちも帰れないんだって」
きゃー、えーまじでー、ありえなーい!
みんな意味わからんというリアクション。
そりゃそうだろうな。
でも、上司がいるから帰りにくいって、日本じゃあるある。
先週末は当直で、緊急オペが夕方から始まった。
けっこう大変なオペで、休みの日ながら上級医も2名来た。
自分ともう一人研修医がいたが、その研修医、
「トオル、手術入りなよ」と言って、手洗いをしようとしない。
手術が始まるとすぐにその研修医が言った。
「昨夜も手術だったんで、いったん帰っていいっすか?」
すると上級医が、
「うん、いいよ、帰って来なよ」
と快く送り出した。
人としての余裕。
これがこっちのWork-life balanceの良さで生まれているんだな。
ちょっと日本もいろいろ考え直してもいいんじゃないか?!