病院食堂
うちの病院の食堂はまずくて有名だ。
ランチタイムでもガラガラ。
「Halal Food Only」って書いてある。
なんだハラールって?
聞くとイスラム教徒の食事みたい。
そんなに南アフリカではイスラム教徒を見ないけどね。
だからランチはみんな、自分で持ってくるか、
病院を出て近くのスーパーまで買いに行ったりする。
そろそろ昼メシってときに緊急オペが入った。
12歳男児。急性虫垂炎(俗に言う盲腸、通称アッペ)。
こっちのアッペは手強い。
基本的に病院に受診するのが遅いので、
病態が進行してからうちらの元に来ることが多い。
今回の子も腹痛が始まって1週間!
日本ではだいたい発症すぐ受診する。
腹痛2日って言われたら、あーもう穿孔してるかもね、って考えちゃう。
それにしても7日って・・・
この子はもう痛みを通り越してぐったりしている。
Na 119, WBC 3万, CRP26とか血液データも狂ってた。
緊急オペでは、日本でもうあまり見ない開腹アッペ。
こっちでも日本と同様、アッペはだいたい腹腔鏡でやっているが、
今日の執刀の若い女医さんは開腹が好みらしい。
開けたとたんに悪臭がヤバい。
完全に穿孔してた。1週間もこんな状態でよくがまんしてたよ。
幸い、腸管は穿孔してなくて、虫垂だけ取ってよく洗って無事終了。
終わったあとも、もう1件アッペがあるとのこと。
おなかすいたが病院の外まで行く暇はない。
こうなったらハラール食堂に頼らざるを得ない。
「とりあえずこれは食える」
と同僚に勧められたのがこれ。
かなり油っこいが、食えないことはない。
急いで食べ終わって手術室に戻り、さあもう1件、と思ったら、
「もう時間切れだって。他の手術が終わってからってさ。明日かもね」
でた、また手術室の都合か。
まあさっきの症例と比べても次の患児は状態が落ち着いているから
まだ待てると判断されたんだろうが、
結局、ずっと絶食は続くからなー。
早く終わらせて、食事させてあげたいな。