クルマは大事
ケープタウンは車社会。
自分の車を持っていない人は、
乗り合いタクシーみたいなワゴン車に乗って移動する。
道を歩いていると、ひっきりなしに「乗らないか?」と声をかけられる。
さすがにこれに乗るには勇気がいるなぁ。
トラックの荷台にギュウギュウ詰めに乗せられている人たちも見かける。
ドカタ系労働者のようだ。
けっこうなスピードで高速道路をぶっ飛ばしている。
この状態で事故に遭っても、救急車なんてすぐに来ないから、
みんな命を落としちゃうそうだ。
病院は家から徒歩10分だが、朝早くや夜遅くなど、
暗いときは危険なので歩けない。
そこでゲットしたのが長期格安レンタカー。
以前勤めていた人から引き継いだものだ。
ミニばっかりを扱う夫婦がやってる小さい店から借りた。
安いは安い。月1万円ちょっと。見た目もいい。夫婦もいい人たち。
でも古い。かなり古い。1978年製って。
「調子悪くなったらいつでも見に行くから」オヤジは言う。
はっきり言って毎日調子悪い。
エンジンが1回でかかることは決してない。
この出発するまでに時間がかかる感じ、
札幌で毎朝雪かきしてからクルマを出していたのを思い出す。
ナイジェリアに行く前にも調子悪かったので修理に出し、
戻ってきてから今日でちょうど1週間。
スタンドでガソリン入れて、さあ走ろうというその時、
うんともすんとも言わなくなった。
修理から戻ってまだ1週間しか経ってないのに!
オヤジに電話すると「15分で行くから」と。
30分後に夫婦仲良く現れた。
「ハーイ」笑顔で手を振ってる。
いやいや、ハーイじゃないっしょ。
「OK、今夜か明日には直して持ってくるから」
いや、いいよ、明日で。その代わりちゃんと直してよ。
やる気アピール期間なだけに、
週末もなんか手伝える手術あったら呼んでね、と当直医に言っちゃっている。
夜に呼ばれたらクルマなしだときついな。
と思ったそばからメールが来た。
「小腸閉鎖の手術、今からやるよ。来る?」
小腸閉鎖症は、生後まもなく見つかる病気で、その名の通り、
小腸が塞がっていてモノが通らない。急いで手術する必要がある。
これもふつうそんなに見ない。
こっち来てまだ1ヶ月なのに、小腸閉鎖3件目だよ。すごいなここは。
もちろん行きたい。外はギリギリまだ明るい。
よし、歩ける。
帰りは誰かに送ってもらえばいいや。
じゃ、行ってきます。