外国人が生きる道
この病院はおっきな病院だけに、いろんな部外者がいる。
しかも世界各国からだ。
見学の学生はだいたいヨーロッパからだし、
ケニアやナイジェリアから来てる医師もいる。
一人、小児外科のスタッフクラスのトルコ人医師がいる。
うちのProfessorがもともとトルコ出身で、南ア国籍も持っている人なので、
トルコから来たと自己紹介する医者が多い。
そのトルコ人、英語が苦手のようで全く話したことがなかったが、
研修医の指導役をやっていた手術に入れてもらった。
症例は1歳6ヶ月男児。
腹腔内に精巣があるタイプの停留精巣で、
腹腔鏡下で手術することになった。
執刀は南ア人研修医。
腹腔鏡に慣れていないのかモタモタしていると、
「これは難しい症例だから僕がやろうか」
とそのトルコ人医師が術者側にまわった。
英語は片言だけど、手術の腕は一級品。
教育もたどたどしい会話ながらしっかりしてくれる。
性格もいいし、とても好感の持てる人物だ。
手術を終えて控え室で話を聞いてみると、
もともと小児の肝胆道系外科の専門で、
半年の滞在予定で南アに来て、いま2ヶ月経過したところとのこと。
この人とまだまだ一緒に手術ができる機会がありそうでよかった。
他の南ア人からの人望も厚い。
困ったことがあると、このトルコ人医師に
声をかけている研修医をよく見かける。
外科の世界、やはり実力がモノを言う。
英語ができなくても、オペで信頼を勝ち取ることができるのだ。
同じ外国人として、非常にいい刺激をもらった。
ちなみにその医師は、
トルコのイスタンブールにある大学病院で働いているらしい。
イスタンブールは人口がものすごく多いので、
このケープタウンの病院よりもさらに症例数が多いとのこと。
魅力的だ。
でも言葉は通じないよね・・・
「じゃ短期間とかで来たら?」って。
「行きたいっす」二つ返事。
世界にはまだまだ楽しそうなところがたくさんある。
楽しそうなところだらけだ。